「スナフボックス/Snuff Box」とは嗅ぎ煙草入れのこと。
嗅ぎ煙草の歴史は古く、もともとはブラジルの先住民が煙草の葉を挽いて愉しんでおり、コロンブスの第2回新大陸航海の際に修道士がそれをもってスペインに帰国したことからヨーロッパに広まったとされています。
18世紀になると嗅ぎ煙草は上流階級で好まれるものとなり、英国ではアン女王の時代(1702〜14年)に大層流行しました。「貴族の贅沢品」のイメージが強く、嗅ぎ煙草を入れておくための「Snuff Box/スナフボックス/嗅ぎ煙草入れ」は贅を凝らしたものも多く見受けられます。
健康上の問題などから近年はそれほど需要はありませんでしたが、2007年に英国で喫煙規制(屋内完全禁煙、煙草の陳列販売禁止等)が出されたのち、嗅ぎタバコはある程度の人気を取り戻したともいわれています。副流煙が無く、健康上のリスクはすべて自分だけが負う嗅ぎ煙草は、ある意味で再び時流に乗るのかもしれません。
今回ご紹介するのは、その「スナフボックス=嗅ぎ煙草入れ」です。
基本的にスナフボックスは小型で、手のひらに乗るようなものがほとんど。このボックスも約8.3×6.2cmと名刺程度のサイズ感です。ころんと丸い楕円形をしており、手のひらにいつまででものせておきたくなるような誘惑にかられます。
英国から手に入れたものですが、デザインは18世紀フランス宮廷を源とするロココ風。ロココならではの左右非対称の貝殻文様や小花、アカンサスリーフ、Cスクロールにレース風の網目など、びっしりと細かな装飾が全体を覆っており、豪奢な雰囲気を纏っています。作られた時代はヴィクトリア時代、19世紀後半と推測いたします。
蓋の開閉はストレスなく行えますし、微妙な摩擦で比較的しっかりと閉じておくことが出来ます。アクセサリーなどの小物入れにとてもおすすめ。大切な方へ小さなものを贈る際のギフトボックスとしてみるのもよろしいかもしれません。
こだわりのアンティークがお好みの貴方へ。
豊かなロココの装飾で覆われたスナフボックスはいかがでしょう。例え嗅ぎ煙草を入れなくても、アクセサリーや小さく大切なものを仕舞っておくにはうってつけの、特別な小箱。かつての習慣を想像しながら、その存在感をご堪能ください。
■英国
■主素材:銀メッキ
■推定製造年代:19世紀後半
■サイズ:幅約8.3cm 奥行約6.2cm 高さ約2.5cm
■開口部サイズ(楕円最大部分):約6.9×4.2cm
■重量:65g
■こちらのお品物は古いお品物です。新品にはない小傷や汚れ、ゆがみや変色、錆、メッキの剥げ等がございます。
*基本的にそのままのお渡しとなりますが、もし「できるだけ磨いてほしい」などのご希望がございましたらご相談ください。磨いた場合は写真の印象と異なりますので、その点はご理解の上ご用命ください。