優雅なミッドヴィクトリアンのドローイングルームを彷彿とさせる、美しいワットノットのご紹介です。
「ワットノット/Whatnot」とは18世紀フランスでつくられていた「etagere/エタジェル」が基といわれる飾り棚のこと。エタジェルはやがて英国にも伝わり、19世紀前半には大変な人気となりました。陶器やオーナメント、小さな可愛らしい物たち、そして何でも、好きなものを乗せられる家具は、装飾品に溢れていくヴィクトリアンの上流家庭のドローイングームではたいそう重宝されました。
英語で「whatnot」は「whatever」と似たような意味ではありますが、どちらかというと長くなった説明を終わらせるような意味合いです。つまり、日本語でくだけた言い方をすれば・・・「お皿でも、小物でも、つまり、何でも!」ということ。
何でも乗せられるワットノットは、向こう側まで透けているシェルフタイプが多いのですが、今回ご紹介するワットノットはミラーが背板部分に貼られている少々珍しいデザインとなっています。
背板があることで強度を保ちつつ、ミラー効果でワットノットの軽やかな印象はそのままに、というとても贅沢な仕様。表情豊かな深い杢目を持つ天板、前面は複数の曲線でできたサーペンタインシェイプ、サイドに並ぶ支柱は挽物で、手前のメインの支柱はアカンサスのスクロール。トップの擬宝珠も複雑な彫を施した凝ったもので、すべてに最高級の仕上りを求めた逸品となっています。一段ではございますが引き出しもあるので、ミュージックキャビネットのような使い方をしていたのかもしれません。
ミッドヴィクトリアンの香り漂う優雅な家具は、幅は60cmにも満たない小ぶりサイズでありながら、置くだけで格調高い空間を演出してくれます。
■英国
■主素材:ウォールナット
■推定製造年代:1870年代
■サイズ:幅54cm/奥行39cm/高さ123(天板まで113.5)cm
■こちらのお品物はアンティークです。新品家具にはない小傷や歪み等がございます。アンティーク家具の特性につきましては
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