飴色のウォールナットと、すらりとしたフォルムが優美なミッドヴィクトリアンのショーウッドチェア。
このようなチェアは、お屋敷のドローイングルームやサロンには無くてはならないものでした。例えば暖炉の脇にゆったりと配され、寛ぎながらひとときを過ごすための優雅なチェアのひとつでした。

Au Coin De Feu (Victorian Lady By The Fireplace)by Auguste Toulmouche/France c.1878
このチェアがつくられた1870年代、産業革命以降から世界へ手を広げていた大英帝国はまさに絶頂期を迎えていました。1857年には香港を手に入れ、1877年にはインド帝国を成立させ、ヴィクトリア女王が皇帝となります。そんななか、大英帝国の富裕層は世界中から集められた材をつかい、贅をつくした品々を手に入れることができました。
このショーウッドチェアは、まさにそんな家具のひとつといえるでしょう。
ほどよくシェイプした形の良い背もたれ。それを取り囲む古艶も見事な飴色のウォールナットのフレーム。トップには古来からある生命力の象徴、アカンサスの葉が立体的にそしてシンボリックに彫りだされています。堅牢な木は匠の技によって手元から滑り落ちるように柔らかな曲線を描き、そのままスクロールした脚先へとつながっていきます。レッグのニーにも存在感あるアカンサスが力強くも優雅に配されており、力強いワンポイントとなっています。
ファブリックは、品の良いサックスブルーで彩られたベルベットジャガード。花とスクロールで飾られたカルトゥーシュの中には、アーチ型をした橋を囲むように木々が生い茂っている様が表現されています。モチーフはお屋敷の庭園でしょうか。それとも郊外の小川の情景でしょうか。
古来より、何かと何かを繋ぐ「橋」はコミュニケーションのシンボルであり、とても絵になる美しい建造物でもあります。英国の芸術家も橋をモチーフとした沢山の名画を遺してきました。

River and Bridge by John Gendall/England(1790-1865)
美しい情景を表現したファブリックはみる方向によって光沢具合が異なるベルベットのパイルでチェアに立体感を与え、「サクソン人の青」とされるサックスブルーは、温かい色味のウォールナットと引き立てあい、このチェアをますます趣深いものに仕上げています。
アカンサスのカーヴィングで飾られた典雅なチェアに身をあずけ、はるかミッドヴィクトリアンのサロンへと想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
■英国
■主素材:ウォールナット
■推定製造年代:1870年代
■サイズ:幅64/奥行84/高さ95cm(座面までの高さ約40cm)
■こちらのお品物はアンティークです。新品家具にはない小傷や歪み等がございます。アンティーク家具の特性につきましては
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