英国のアンティークマーケットで手に入れた、小さな入れ物。
特徴としてはフォルムが「コールスカットル/coal scuttle」の形をしていること。
「コール/coal」は「石炭」、「スカットル/scuttle」は「バケツ」の意味ですので、コールスカットルとは石炭を入れておくためのバケツのような物で、暖炉の側に良く置かれていました。シャベルがセットされているものも多く、そのシャベルで石炭を掬っては暖炉にくべていた、生活に欠かせない道具でした。
今回ご紹介する「シュガースカットル」は、その「コールスカットル」のミニチュア版として、お砂糖用に作られたもの。ティータイム用にお砂糖を入れておき、セットされたシャベルでお砂糖を掬う、という趣旨のようです。石炭とお砂糖、というかけ離れたものを一緒にするのは驚きますが、お茶の時間用のちょっとした遊び心として作られたのではないでしょうか。細かな彫りや飾りが可憐で、すっぽりと嵌るシャベル状のスプーンは使うたびに楽しくなりそうです。
底面には以下の文字が見られます。
E.P.B.M.
7331
これは「Electro Plated Britania Metal」の略。7331はどこかの製造番号かデザイン番号かと思われます。
そして「Britania Metal/ブリタニア金属」とは16世紀後半から作られた合金の事。一般的には約92%の錫、6%のアンチモン、2%の銅でつくられるピューターに近い合金です。1846年に銀の電気メッキ(Electro Plated)が開発されて以降、ブリタニア金属は銀メッキの家庭用品やカトラリーのベースメタルとして広く使用されました。正直、それほどクオリティの高い合金ではなく、銀メッキの品物をより手に届きやすい価格にするために使われていた側面があるようです。
英国のティータイムを楽しくために作られた、小さなシュガースカットル。小さなグリーンやお花を飾ったり、ナプキンを敷いて小さめのカトラリーやパックされたお砂糖などを入れるのもよろしいかもしれません。
貴方のお茶の時間を演出するテーブルマスコットとしていかがでしょうか。
■英国
■主素材:ブリタニア金属に銀メッキ
■推定製造年代:1900-1930年代頃
■サイズ:スプーンセット時の全体幅約17cm 本体のみ約13.5cm 底面直径約6.2cm 高さ約11.2cm
■総重量:178g
■こちらのお品物は古いお品物です。新品にはない小傷や汚れ、変色、メッキの剥げ等がございます。