可憐なエナメル絵付けのグラスボックス。
このような入れ物はトリンキットボックスともよばれ、宝飾品など小さなものや、化粧品などをいれていたと思われます。ボンボニエールとして使用されていた、というものもございます。
このボックスは小さめで、ちいさな女性の掌にすっぽり納まってしまうくらいのもの。淡く儚げで、それでいて存在感のあるなんとも言えない緑色は、まさに「シック」という言葉に相応しい色合い。肉厚の筆致で描かれているのは、アーモンドの花と思われます。「真心の愛」「永久の優しさ」という花言葉をもつバラ科のアーモンドは、フランスでは春の訪れを先駆けて告げるように2月頃に咲き始めます。そこはかとなく和も感じさせる意匠は、東洋の影響をうけたアールヌーヴォーの頃ならではのものかもしれません。
貴方の掌でそっと包んでみてください。
経てきた月日を封じ込めたかのような、生命力を感じていただけることでしょう。
■フランス
■主素材:ガラス
■推定製造年代:1900年代
■サイズ:直径7/高さ5cm
■こちらのお品物はアンティークです。新品にはない小傷や汚れ、歪み等がございます。