5客セットでベルギーから買い付けてきた、デミタスのご紹介です。透かし柄の入ったこぶりで薄手の磁器は、可憐な花のパターンが施されています。
底部分には以下の文字がみられます。
ROSSUM VOET
BRUXELLES
H&Co
(H&Coの文字の下には2本のライン)
まず「H&Co」とは、リモージュの「アビランド/Haviland & Co」のこと。1843年、ニューヨーク出身の貿易商デビッド・ハビランドによって設立されました。たまたま輸入品のフランスのティーセットを見つけた彼がそのクオリティに惚れこみ、フランスに渡り、リモージュで会社を立ち上げてアメリカに居る兄弟たちへ輸出するビジネスモデルを造り出します。
当初は「Haviland Brothers&Company」という名称で開始された事業は成功し、新しいアメリカという消費地はリモージュ磁器の発展に大いに役立ちました。もちろんクオリティにもこだわり、国際的な展覧会や1855年のパリ万博で数々の賞を受賞し、1867年のパリ万博では金賞を受賞を受賞します。アビランドは現在でも生産を続けており、シルバーやクリスタルまで取り扱うようになっています。
アビランド オフィシャルサイト
https://www.haviland.fr/
また、「ROSSUM VOET BRUXELLES」は、おそらくベルギー、ブリュッセルにあったお店の名前と思われます。
例えば英国のミントンなどでも、同名のバックスタンプをもつ食器を残しており、おそらくその店用の特注柄だったのではないでしょうか。かつてブリュッセルの37-49 Rue du Marcheに存在していたようですが、現時点でそのアドレスは近代的なビルが建っており、お店を確認することはできませんでした。
花のモチーフはおそらく撫子。フランスでは南部および東部にもともと自生しており、17世紀には英国で多数の品種が生み出され、花弁の鋸状の部分が少ない物が好まれましたが、このデミタスの撫子はそれほど改良されたものではない気がします。花の上の方に描かれた薄茶色の部分は、花が終わった種を内する莢を表現しており、植物画のような写実性も感じられます。
150年を経てきた磁器は充分に美しく、キャビネットに仕舞えば19世紀リモージュの空気を閉じ込めたよう。
貴方のコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
■フランス
■主素材:陶器
■推定製造年代:1876-1889年
■カップ&ソーサーサイズ:直径12/高さ6.5cm
■ソーサーのみサイズ:直径約12cm高さ約2.3cm
■カップのみサイズ:本体直径約5.5cm 取手含む幅約7.8cm 高さ約5.5cm
■こちらのお品物はアンティークです。古い陶器ですので、お取り扱いには十分ご注意ください。
■染料のとびが若干見られますが、欠けやヒビはございません。
■5客セットでの販売となります。
*デミタスについてスタッフブログで詳しくご紹介しております。
こちらからご覧ください。
https://ameblo.jp/pancada/entry-12747355030.html