英国からの小さなブローチのご紹介です。
まず、外側のY字型はウィッシュボーン。
ウィッシュボーン/Wishbone=願う骨とは、鳥の胸の叉骨(さこつ)のこと。食事の際にこの骨が綺麗にみつかれば幸運で、さらにこの骨を二人が小指で引き合い、手元に長い方が残った人の願いが叶う、という言い伝えがあります。ラッキーアイテムとして、ヨーロッパでは古くからチャームなどに使われてきました。
そのウィッシュボーンの中央には鳥があしらわれており、尾羽の形からスワロー(ツバメ)と思われます。ツバメといえば黒地に白ですが、このブローチの鳥は紫や緑の色鮮やかなエナメル彩が施されています。おそらくこれはデザイン的な処理かと推測いたします。
ツバメはヨーロッパにおいて幸せの象徴として古くから愛されているモチーフ。それにウィッシュボーンを組み合わせた小さなブローチはそれほどの願いを込めて作られたのでしょうか。
材はスターリングシルバー。このブローチにはホールマークが付けられており、それによればバーミンガムのアセイオフィスで1925年に認可を受けたスターリングシルバーであることが分かります。メーカーズマークは「ALLD」(Dは小さく下にアンダーバー)で、これは「Adie & Lovekin Ltd」のマークとなります。同社は1863年頃からバーミンガムで事業を始め、1894年には正式に登録され、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン、そして1920年代頃まで多くの銀製品を生み出したシルバースミスです。
さりげなく襟元につけたり、帽子のワンポイントとしても素敵。幸運のお守りを品よくまとめた、英国アンティークの小さな佳品です。
■英国
■主素材:シルバー、エナメル
■推定製造年代:1925年
■サイズ:約3.4×1.5cm
■重量:2g
■こちらのお品物はアンティークです。新品にはない小傷や歪み等がございます。
■ブローチ留め具はご使用可能と判断してご紹介しておりますが、現代のお品物と比べればわずかに操作性に劣ります。