19世紀のオリジナルジャガードが嵌め込まれた、優美なファイヤースクリーン。
ファイヤースクリーンとは、暖炉の前に置く小さな衝立のことです。薪がはぜて室内に飛ぶのを避けたり、直接炎の熱さが人の顔にあたるのを防いだり、暖炉を使わない季節に暖炉内を隠すために使われました。マントルピースは部屋のインテリアとして中心的存在であり、富裕層のお屋敷ではクオリティの高いファイヤースクリーンがゲストの目を楽しませていたことでしょう。
また、ジャガード(ジャカード)織とは、1801年にフランスのジョゼフ・マリー・ジャガード(Joseph Marie Jacquard)が発明した機械でつくられる織物のこと。彼は1752年、絹織物の街として栄華を誇っていたフランス・リヨンに生まれました。フランス王室の庇護のもと、ヨーロッパ随一の品質とクオリティを誇っていたリヨンで生まれたジャガード織は、その後大きく発展してゆきます。
ジャガード織の品質は、使われている素材、糸の密度、そしてパターンで決まります。複雑な柄が織り出せることがジャガード織の魅力ですが、色糸を多く使うほどに手間は増し、タテのパターンが長くなればなるほど、つくるのが大変な作業になります。このファイヤースクリーンに使われているジャガードは19世紀のオリジナル。素材は恐らくシルクで、多色で表現された大きく華やかなパターンは、恐ろしく手間がかかる贅沢な品物であることは間違いありません。産業革命を経て半ば自動化されたジャガード織機でも、ここまでのクオリティは王侯貴族のみが楽しめる一級品の織物であったことでしょう。
その貴重なジャガード織がはめ込まれたファイヤースクリーン。枠は金彩で、ローレル(月桂樹)のレリーフとリボンのピアスドカーイングは施されています。このスタイルはフランスルイ16世様式を忠実に再現しています。ジャガード織を護る為に表面にはべベルド(面取り)ガラスがはめ込まれ、このスクリーンをよりエレガントに仕立てています。
現代であれば、場所をとらず、手軽に動かせるため、インテリアのアクセントとしてちょっとした間仕切り代わりに使ってみるのもアンティーク上級者ならではのスタイリングとなりそうです。
ヨーロッパ王室のエレガンスを体現したようなその佇まいは、置いていただくだけでお部屋の空気を芳しくする、優美な存在感を放っています。
■英国
■主素材:木、ガラス、布
■推定製造年代:1880年代
■サイズ:幅67/奥行33/高さ87cm
■こちらのお品物はアンティークです。新品家具にはない小傷や歪み等がございます。アンティーク家具の特性につきましては
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*ファイヤースクリーンについてはスタッフブログにて詳細をご説明しております。
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