ヴィクトリアン エロ―スアトリビュート オケージョナルテーブル/1196-010/幅92.5/奥行69/高さ71cm

1196-010

530,000円(税込583,000円)

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アンティーク家具には、時に様々な意味を込めた意匠が施されることがあります。

一見何気ない柄やパターンにしか見えなくても、知識をもって臨めばそのアンティークの更なる深みを垣間見ることが出来るかも知れません。今回は、ヴィクトリア後期につくられた見事なオケージョナルテーブルのご紹介です。どんな意味が隠されているのでしょうか。


幅約1m弱というオケージョナルテーブルは、それほど大きくなく、ティーテーブルやランプテーブルに頃合いの大きさです。エレガントなカーブをもつ、楕円とも菱形ともとれる天板のシェイプを持ち、エッジには線象嵌が施され、4隅には円形のポイントが配されています。限りなくしなやかなカブリオレレッグの付け根には、ネオクラシカル様式で好まれたベルフラワーの象嵌が脚の形に合わせて施されており、意匠とフォルムの一体感を感じさせます。しなやかな4本の脚を繋ぐストレッチャー(貫)は優雅にカーブを描き、花のようなストレッチャープラットフォームを軽やかに支えています。


そして何よりも目を惹くのは、天板中央に施された見事な象嵌細工。花綱やコルヌコピアが巧みに組み込まれたアラベスク文様に囲まれた中心には、松明と矢筒が鎮座しています。「松明と矢筒」はギリシア神話のエロ―ス(ローマ神話ではアモール・クピードー)のアトリビュート(*後述)です。


近世では弓と矢をもつ姿で描かれることが多いエロ―ス。ご存じのとおりその矢で射抜かれればたちまち恋に落ちてしまうという、恋の神です。松明は「心に炎をともす」意味があり、「松明と矢筒」が揃えばエロ―スを象徴するアトリビュートになっています。(諸説あります)

Omnia Vincit Amor (1809) by Benjamin West【Omnia Vincit Amor (1809) by Benjamin West】


華やかで軽やかな美しいテーブルに施された、恋の神エロ―スを象徴する象嵌細工。オーダー主はどのような想いをこのテーブルに込めたのでしょうか。


片思いの相手に?それとも結婚の記念に?遥かヴィクトリア時代から伝わってくる密やかな想いを眼にしたとき、貴方の心には何が生まれるのでしょうか。
是非現品にてご確認下さい。



■英国
■主素材:マホガニー
■推定製造年代:1890年代
■サイズ:幅92.5/奥行69/高さ71cm
■こちらのお品物はアンティークです。新品家具にはない小傷や歪み等がございます。アンティーク家具の特性につきましてはこちらをご一読ください。


*「アトリビュート/ attribute」とは、西洋美術において伝説上・歴史上の人物や神話上の神と関連付けられた持ち物のこと。その物の持ち主を特定する役割を果たします。

*スタッフブログにてアトリビュートについてご説明しています。こちらからご覧ください。