フランス宮廷で開花したロココの可憐な華が舞う、ルイ15世様式サロンテーブル。
ルイ15世が在位した1715年から1774年は、重厚なバロック様式から優雅で快活なロココ様式へと変化した時期でした。最愛王とよばれたルイ15世は若くしてポーランド国王の娘マリー・レクザンスカと結婚しますが、その後は多くの公妾を持つようになりました。中でもポンパドゥール夫人は政治にも強い影響力を及ぼす重要な人物となる一方で、熱心な芸術の愛好家でもあり、宮廷のサロンにロココという新たな芸術をもたらしました。ロココは岩を意味する「ロカイユ」に由来すると言われています。貝殻やアカンサスの意匠が曲線で優雅に表現され、その華やかで麗しい装飾は宮廷や貴族の間で長きに渡り愛されることになります。
【Madame de Pompadour at her Tambour Frame by Francois-Hubert Drouais (French,1727-1775)】
このサロンテーブルはフランス宮廷の栄華を感じさせる、典麗かつ愛らしいひと品。
ルイ15世様式に欠かせない銘木ローズウッドは、薔薇の香りがすることからその名がついたと言います。堅く詰まった材であり、加工には難しいとされるものの、その深く熟成した艶と引き込まれるような木目は抗うことのできない魅力を宿しています。暗紫色の濃淡が大胆に現れた木肌は、人知及ばぬ自然美の領域に属する存在。
天板は贅沢にもそんなローズウッドで一面化粧張りし、クウォータリングで鮮やかに模様を描きながらも、ゆるやかなエッジの曲線で柔らかく優美な印象を残します。
このテーブルのもうひとつの大きな魅力、それは驚くほどの立体感で表現された華々しいカーヴィングでしょう。中央に彫り込まれた貝とアカンサスの意匠はロココ様式の象徴。そこからこぼれるように華とリーフが絡み合いながら左右へと流れ、ロココの優雅な雰囲気をそのまま体現しています。また、サイドの幕板には寄り添うように小花があしらわれ、清楚な一面を覗かせています。そして、しなやかなカーヴを描く細めのカブリオレ・レッグには一輪の可憐な華が咲き、摘み取れそうなほどリアルに、そして丹念にカーヴィングされたその端正な佇まいには、貴婦人のような麗しさが漂います。
小さめのダイニングテーブルとしても、ゆったりとお茶を愉しむティーテーブルとしても、とても使いやすい大きさです。また、ちょっとした仕事のデスクにも、ミラーを置いてドレッサーのようにもお使いいただけることでしょう。
華やなロココのエッセンスが溶け込むサロンテーブルが、18世紀の華麗な一幕を演出いたします。
■フランス
■主素材:ローズウッド
■推定製造年代:1900年代
■サイズ:幅111/奥行71.5/高さ71.5cm
■こちらのお品物はアンティークです。新品家具にはない小傷や歪み等がございます。アンティーク家具の特性につきましては
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