ヴィクトリアン カーヴドローズ ショーウッドチェア/9139-001/幅66/奥行85/高さ96.5cm(座高約39)

9139-001

780,000円(税込858,000円)

在庫状況 在庫1[点]です

購入数

飴色のウォールナットと、典雅なフォルムが秀逸なミッドヴィクトリアンのショーウッドチェア。

このチェアがつくられた1870年代、産業革命以降から世界へ手を広げていた大英帝国はまさに絶頂期を迎えていました。1857年には香港を手に入れ、1877年にはインド帝国を成立させ、ヴィクトリア女王が皇帝となります。そんななか、大英帝国の富裕層は世界中から集められた、贅をつくした品々を手に入れることができました。

このショーウッドチェアは、まさにそんな家具のひとつといえるでしょう。美しいオーバルシェイプの背もたれ。ボタン留めで豪奢な印象をもつクッションと、それを取り囲む古艶も見事なウォールナットのフレーム。トップにはいくつもの花々がカーヴィングされ、センターには幾重にも花びらを重ねた薔薇が生き生きと鎮座しています。

古来から美と愛の象徴である薔薇はヴィクトリア時代英国でも栽培され、愛されていました。ただ、花の命は短く、そのため薔薇を愛でる人々は、絵はもちろん、室内装飾のタイルや家具にまでその姿を写しとらずにはいられなかったのでしょう。


A Girl and Roses by Auguste Toulmouche  1829-1890A Girl and Roses by Auguste Toulmouche 1829-1890



やわらかな布張りの肘掛の先端は、140年を超えた歳月でまろみを帯びたウォールナット。堅牢な木は匠の技によって手元から滑り落ちるように柔らかな曲線を描き、そのままスクロールした脚先へとつながっていきます。レッグのニーにもさりげなく1輪の花が施され、まさに華やかさを添えています。座と背を繋ぐウッドフレームのカーヴィングはロココの影響をうけたロカイユでしょうか。波打つような動きのある曲線は、重たくなりがちな布張りのパーツを軽やかに浮きたたせてくれるようです。

ファブリックは、ヨーロッパの伝統的な唐草をモチーフとした先染めジャガード。経糸にはさりげなく異なる染め糸が混ぜられ、グランドに統一感を与えています。ボリュームのある緯糸で織り出されたモチーフは、わずかに膨らみ、まるで風通織のような豊かな陰影をみせています。光の加減によってイエローにも、ゴールドにも見える明るい色味はウォールナットの飴色と引き立てあい、このチェアをますます艶めいたものに仕上げています。


このようなチェアは、お屋敷のドローイングルームにはなくてはならないものでした。応接室であるドローイングルームは豪華な内装が施され、美しいステンドグラスの窓、世界から手に入れた珍品とともにゆったりと寛げるアームチェアがレイアウトされていたことでしょう。


咲きこぼれる薔薇を背に感じながら、ゆったりとチェアに身を預ける時、はるかミッドヴィクトリアンからの芳香が優雅な時間と共に流れだしてくるようです。


■英国
■主素材:ウォールナット
■推定製造年代:1870年代
■サイズ:幅66/奥行85/高さ96.5cm(座面までの高さ約39cm)
■こちらのお品物はアンティークです。新品家具にはない小傷や歪み等がございます。アンティーク家具の特性につきましてはこちらをご一読ください。