最高級ローズウッド材に、芸術的マーケットリーが施された美術品クラスの稀少なキャビネットです。
産木からはバラの芳香が漂うという高級材ローズウッド。
紫檀とも呼ばれ、黒檀、花梨と並んで稀少価値の高い高級銘木の代表的な存在です。
その木材の、さらに選び抜いた芯材から作られたキャビネットは、赤紫褐色で、硬くきめ細かい美しい木肌。
磨きの利いた木材の素晴らしい古艶は、ローズウッドの魅力を昇華させています。
色流しで描いたような流麗な木目は自然の創りあげた芸術品、そこに豪奢なマーケットリーが施されています。

精妙な技巧の光るマーケットリーは、当時の最高レベルの匠による仕事に間違いないでしょう。
キャビネット上部には豊饒の角「コルヌコピア」が描かれています。
『宝角』とも呼ばれ、花や果実が角杯に溢れる豊饒・繁栄のモチーフです。
観音開きの扉にも、弓と矢のモチーフを囲んで、フェストゥーンと呼ばれる花綱のモチーフが優雅かつ上品に家具を彩っています。
あえて色味を抑えてたと思われる二色仕上げがかえって品格を添えています。
クレスティング(頭頂飾り）の美しいカーヴィングもさることながら、ストレッチャープラットフォームの曲線美、その後ろの精緻な透かし彫り、全てぬかりない仕事ぶりです。
このキャビネットが最高級を求めた上流階級の特注家具であったことは想像に難くありません。
ヴィクトリアンの贅を極めた至宝ともいえる素晴らしいミュージックキャビネットです。

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