ブリティッシュ・アールヌーヴォーの端正な姿が美しいオケージョナルテーブル。

英国の思想家、ウィリアム・モリスが提唱したアーツ＆クラフツ運動に端を発し、大陸で花開いたアールヌーヴォーは、植物のもつ有機的な曲線を優美に意匠化し、ポスターやアクセサリーをはじめ、建築や家具まで巻き込む大きな流行となりました。

英国には、世紀末から20世紀初頭にかけ、大陸から逆輸入されたような形で取り入れられました。ブリティシュ・アールヌーヴォーの特徴は、大陸ほど曲線は多用せず、比較的直線、および幾何学的な曲線をうまく組み合わせつつ、平面的なモチーフとして花や有機的な曲線を表現していることがあげられます。全体のフォルムとしてはすっきりとした姿となりつつも、凝った部分は優美なモチーフを愉しむことができるものであるといえるでしょう。また、オケージョナルテーブルとは、文字通りいろいろな場面で使うことのできる、オールマイティなテーブルのこと。大きさはややこぶり、ティーテーブルやランプテーブルなどにちょうどよく使えるサイズで、デザイン的に凝ったものが多く見られます。これは、オケージョナルテーブル自体を、鑑賞に耐えうるような完成度まで仕上げておけば、そのままインテリアにもなる、という考え方からきたもの。

エドワーディアンのレディ達は、美しいオケージョナルテーブルをいろいろな大きさでそろえ、好きな場所で優雅なティータイムを過ごしたことでしょう。

このテーブルは直径約60cmと、ちょっとしたティータイムにちょうど良い大きさ。四本の脚はしっかりと安定感があり、最高級マホガニーの重量感と美しい杢目は、いまはもう手に入れることのできないクオリティです。そしてなによりも美しいのは天板の象嵌細工。アールヌーヴォーならではの文様は、木のみらなず金属とマザーオブパールで象嵌されており、見飽きる事の無い完成度です。

ブリティッシュ・アールヌーヴォーならではの凛々しさと優美さをあわせもつ、貴重な逸品。おそばに置いて、世紀末から吹いてくる耽美な風を感じてみてください。

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