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インレイド エドワーディアン キャビネット
売約済
品名 | インレイド エドワーディアン キャビネット |
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品番 | 9165-061 |
材質 | マホガニー材 |
Age | 1900年代 |
Country | 英国 |
幅 | 60.4cm |
奥行き | 32.5cm |
高さ | 174cm |
商品説明
褐色の古艶を纏い、真っすぐに伸びる痩身な姿が凛々しいインレイドエドワーディアンキャビネット。
18世紀初頭の1720年から1770年まで、バロック様式からロココ様式に移り変わる英国家具の歴史の中でも最も華々しい時代、マホガニーは不動の最高級材として君臨しました。見る者の心を奪う美しき褐色と、不思議なほどに煌めく艶を放つマホガニーは、家具の他にも楽器や船舶、列車の内装などにも用いられ、そのすべてを余すところなく華麗に演出しました。
もとは16世紀に西インドからヨーロッパに渡ったマホガニー。英国では主にジャマイカとサンドミンゴから取り寄せた材が流通していましたが、需要の拡大に伴い、キューバへと産地が広がっていきました。かの有名なキューバンマホガニーは奥深い暗褐色、潤い溢れる艶と流れるような木目を有し、別格の存在として珍重されていました。
マホガニーは見た目の他にも、摩耗に対する耐久性や狂いが少ないなど加工時の利点もあって、作られた家具は多岐に渡り、マホガニーの時代と呼ばれるほどに一時代を築きました。
このキャビネットにもマホガニー特有の赤褐色と時を重ねた分だけ深まる艶が現れ、細身ながらその存在感をしっかりと示しています。
内張りのファブリックは伝統の柄、ダマスク模様。漢の時代の中国、絹を使って生まれたその美しく輝く織物は、シルクロードを渡って東西に広がっていきました。シルクロード西の終点、古都ダマスカスからヨーロッパに伝わったため、ダマスクと呼ばれるようになったそうです。
椅子張りの生地や壁紙などにも使用されるこの柄の多くは、花や果実など植物をモチーフとしています。大胆豪華でありながら、葉の先にいたる繊細な表情まで、生命力溢れる躍動感が表現されています。単色で織られているものの、光の角度によってその柄は華やかに踊り出し、明るくも大人びた黄色は心を豊かに満たしてくれます。
また、扉やフロント部分にはストリンギング(stringing)と呼ばれる線象嵌が施されています。直線だけでなく、ループ状のストリンギングもみられますが、手作業で狂いなく細い曲線を象嵌することは実は簡単なことではありません。扉のフレームもカーヴで表情を付けるなど、控え目な装飾ではあるものの、細かな気配りがこのキャビネットを品よく愛らしくさせています。そして扉には古き良きアンティークガラスが優しく揺らめき、空間を柔らかく演出してくれます。
細身で程良い高さのキャビネットは日本の家庭でも収まりの良いサイズ。お部屋の雰囲気に溶け込みやすいのもアンティークの良いところです。
飾らない姿とは裏腹にいくつもの要素が詰まったキャビネット。それぞれの物語に想いを巡らせたなら、その魅力が尽きることはないでしょう。